私たちがつくる製品は、「手の切れるような製品」でなくてはなりません。それは、たとえばまっさらなお札のように、見るからに鋭い切れ味や手触りを感じさせるすばらしい製品のことです。
製品にはつくった人の心が表れます。ラフな人がつくったものはラフなものに、繊細な人がつくったものは繊細なものになります。たくさんの製品をつくって、その中から良品を選ぶというような発想では、決してお客様に喜んでいただけるような製品はできません。
完璧な作業工程のもとに、一つの不良も出さないように全員が神経を集中して作業にあたり、ひとつひとつが完璧である製品づくりを目指さなければなりません。
(
『京セラフィロソフィ』サンマーク出版 P553より)
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以前「カンブリア宮殿」で、まさに「手の切れる」製品である「包丁」を作っている貝印の紹介をしていました。
普段はカミソリ位しか見たことがない貝印の製品ですが、実は欧米を中心に「旬」という日本刀のようなデザインの包丁が大ヒット商品になっているそうです。
自分たちの得意な技術を、異なる環境で発生するニーズに合わせて変化させていくやり方はとても参考になります。
普段私たちは今現在行っていることにどうしても注目しがちで、私たちが商品やサービスを提供するエンドユーザーのことをついつい忘れてしまうことがあります。
相手が一体何を望んでいるのか。
この視点を常に忘れず、その要望に応える製品をつくるために真剣に取り組んでこそ、価値を認めてもらえるものができるのだと思います。