大胆さと細心さは相矛盾するものですが、この両極端をあわせもつことによって初めて完全な仕事ができます。
この両極端をあわせもつということは、「<ruby><rb>中庸</rb><rp>(</rp><rt>ちゅうよう</rt><rp>)</rp></ruby>」をいうのではありません。ちょうど<ruby><rb>綾</rb><rp>(</rp><rt>あや</rt><rp>)</rp></ruby>を織りなしている糸のような状態を言います。縦糸が大胆さなら横糸は細心さというように、相反するものが交互に出てきます。大胆さによって仕事をダイナミックに進めることができると同時に、細心さによって失敗を防ぐことができるのです。
大胆さと細心さを最初からあわせもつのは難しいことですが、仕事を通じていろいろな場面で常に心がけることによって、この両極端を兼ね備えることができるようになるのです。
(
『京セラフィロソフィ』サンマーク出版 P210より)
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「言っていることが矛盾している」と、以前職場の人達と飲んでいる時に言われたことがあります。
その時は私もムキになって反論していましたが、最近では矛盾するのは当たり前だと考えるようになりました。
ことわざなどには、矛盾することや一見辻褄が合わないようなことばが数多くでてきます。
「急がば回れ」だとか「かわいい子には旅をさせよ」とか「果報は寝て待て」とか。
これらはみんな、物事を一面だけで捉えてはいけないという教訓が含まれています。
色んな考え方を受け入れられるようになると、人間の幅も広がり、その分対応にも余裕が出てきます。
ついつい幅の狭い考え方をしている人を見ると、もっと視野を広げろと言い返してしまったりして、私もまだまだ余裕を持てるほどの境地には至っていません。