人間にはそれぞれさまざまな考え方があります。もし社員一人一人がバラバラな考え方に従って行動したらとうなるでしょうか。
それぞれの人の力の方向(ベクトル)がそろわなければ力は分散してしまい、会社全体としての力とはなりません。このことは、野球やサッカーなどの団体競技を見ればよくわかります。全員が勝利に向かって心を一つにしているチームと、各人が「個人タイトル」という目標にしか向いていないチームとでは、力の差は歴然としています。
全員の力が同じ方向に結集したとき、何倍もの力となって驚くような成果を生み出します。一+一が五にも十にもなるのです。
(
『京セラフィロソフィ』サンマーク出版 P412より)
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日本人の気質として、ベクトルを合わせることを大切にし、それに対して多くの時間を使う傾向があります。
個々の力を結集させることに重点を置いているのです。
その反面、個人が突出することを好まない傾向もあります。
それが良いか悪いかは別にして、日本人の組織を率いていくには、その方法が最も効果的だということです。
そうやって、組織を強くすることは成功事例が多いのですが、問題はそれを率いていくリーダーの力量がなかなか伴わないことです。
過去の例を見ると、日本人の気質とは異なるリーダーが、ベクトルの合った日本人の組織を率いている時に、その集団は急速な成長を遂げます。
ただし、ある程度成長を遂げた組織はやがてリーダーを葬ります。
そして組織が独自の判断で動きはじめ、その結果崩壊していきます。
組織が強くなりすぎるのも良くないってことですかね。