経営の死命を制するのは値決めです。値決めにあたっては、利幅を少なくして大量に売るのか、それとも少量であっても利幅を多く取るのか、その価格設定は無断階でいくらでもあると言えます。
どれほどの利幅を取ったときに、どれだけの量が売れるのか、またどれだけの利益が出るのかということを予測するのは非常に難しいことですが、自分の製品の価値を正確に認識した上で、量と利幅との積が極大値になる一点を求めることです。その点はまた、お客様にとっても京セラにとっても、共にハッピーである値でなければなりません。
この一点を求めて値決めは熟慮を重ねて行わなければならないのです。
(
『京セラフィロソフィ』サンマーク出版 P444より)
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ビジネスを行う上では、この項目は当たり前すぎる内容なのですが、本質を理解している人は案外少ないのではないでしょうか。
なぜ人は本質を見過ごしてしまうのか。
それは人が習慣にとらわれやすいからでしょう。
どんな複雑な仕事でも、長く経験していると、次第に人はその仕事に慣れてきて、深く考えないようになります。
そうして自分自身の仕事が、そもそもなぜそういう仕組みになっているのかを忘れてしまいます。
「値決めは経営である」ということも、最初のうちは意識的に値段を把握していたものが、いつの間にかルーチンワーク化していき、だいたいこれくらいが相場だろう、という曖昧な基準で決定されることになります。
そうなると、顧客の希望や製造工程などはいちいち気にしなくなり、結果市場から求められない製品になってしまいます。
営業も製造現場も、常にそのことを意識していなければなりません。