大きな夢や願望をもつことは大切なことです。しかし、大きな目標を掲げても、日々の仕事の中では、一見地味で単純と思われるようなことをしなければならないものです。したがって、ときには「自分の夢と現実の間には大きな隔たりがある」と感じて思い悩むことがあるかもしれません。
しかし、どのような分野であっても、すばらしい成果を見出すまでには、改良・改善への取り組み、基礎的な実験やデータの収集、足を使った受注活動などの地味な努力の繰り返しがあるのです。
偉大なことは最初からできるのではなく、地味な努力の一歩一歩の積み重ねがあってはじめてできるということを忘れてはなりません。
(
『京セラフィロソフィ』サンマーク出版 P111より)
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私が知る製造業の現場は、たいてい何かしらの改良・改善をしています。
そしてその成果を実際の製品を製造する過程で発揮できると、仕事自体は楽しくなります。
私自身も仕事の楽しさがわかりはじめたのは、仕事の全体像がわかりはじめて、そこから改良・改善するようになってからでした。
しかし、そういうサイクルを意図的に現場の人達に根付かせるのは、簡単なようで案外難しいものです。
特に同じ職場で沢山の人達が似たような作業に従事している場合、一人一人の改良・改善は周りから見てもそんなにわかりません。
また習慣としてそういう改良・改善をしようという意識がない職場もあります。
大きな会社になればなるほど、そういう傾向は強いと思います。
中小企業に人が集まらず、ベンチャー企業もなかなか育たない今の日本では、自分の手で何かを作り上げていく楽しさを経験することが、次第に少なくなっているような気がします。